読書日記 nokia's bookshelf

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生まれると死ぬるは隣り合わせ『仏果を得ず』三浦しをん(双葉文庫)

おそらく。。。ですが。

現代に生きるほとんどの人に馴染みのない芸術ではないでしょうか。

文楽。(文楽関係者の方、失礼な物言いですみません)
そんな馴染みの薄い世界に飛び込んだ若き太夫の物語です。

 
仏果を得ず (双葉文庫) [ 三浦しをん ]

 

この物語、のっけから彼が住んでるところにぶっ飛びました(^^;)

すごいところに住んでるんですよ。というか、まず、住もうとは思わないよ、ここには。ここは誰に聞いても「へっ? なんでそこに住むの?」と首をかしげること間違いなしです。おそら100人中99人は「そ〜れ〜は〜ない〜〜(お〜ま〜えーはぁア〜ホ〜かぁぁ、と同じメロディでどおじょ〜)」と答えるはず。うん。

でもね、大家さんの考え方に、なるほど、とうなずかされはしますが。。。

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大家さん、豪快です。生まれることと死ぬことが隣同士、一つ所ですむなんざ、「まさにゆりかごから墓場までやな」とかなんとか。
こんな柔軟な発想の大家さんってステキじゃないですか!

だからと云って、ここに住みたいとは 言えないnokiaですけど(苦)

 

私は文楽に関してほとんど知識がないのですが、この「仏果を得ず」を読むと文楽の裏側がよくわかります。ど素人の私が一説打てそうなくらいに詳しく書いてあります。三浦さんご自身がよほど文楽にのめり込まれてこの作品に取りかかられたのでしょう。いというか、三浦さんのことなので、文楽にのめり込んでしまったがゆえにこの作品が誕生した、と言えなくもないことなないかもしれない。。。?

 

nokia163.hateblo.jp

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文楽には教本や台本がないのですね。人づてに伝承していくんだそうです。師匠から弟子へ、そしてまたその弟子へ。
とても原始的な方法で、それが伝統で。歌舞伎や狂言、能などの伝統芸能は、口伝で後世に伝えていくのだそうです。五線譜の確立している西洋音楽とは伝承の方法が違うようですね。

この一冊読み終わる頃には、何本か人形の物語を観てきた気分になれます。
そして、きっと生文楽を観たくなること、間違いないです。
小説を読んで何なにしたくなった、そう思わせてくれる作品ってきっと満足感がありますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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