読書日記 nokia's bookshelf

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欲望のままに女は男を利用する。。。「幻夜」東野圭吾

「幻夜」東野圭吾

文庫本で読んだのですが、まず驚いたのがその厚さ。 およそ800ページ、文庫なのにずっしり重いですっ! 読書はまず外観から。 これ、本は紙で読む派nokiaの読書観です(*^^*)

 

はじめのほうは「なんかイヤミな女が主人公やな。。」って思いながら読んでました。 まわりの男たちを罠にはめ、自分の手の中にある男たちは上手く利用する。 たとえ、女同士の中で嫌われ者になっても自分には言うことをきいてくれる男たちがいる。 現実にもそんな女性がいますよね。

阪神淡路大震災で被災した女と男。 震災後の混乱の中で、男は犯さざる罪に手を染めた。 誰も見てはいない、大丈夫だ。 しかし、その行為を目撃した女がいた。 女は巧みに男に近づいていく。

女と男は神戸を離れ、仕事を変え、新しい日常を歩み始める。 女は地位を得るため、金を得るため、欲望のままに男を利用する。 利用されていると知りながら女に協力する男。 神戸で犯した罪が二人を結びつけていた。

女はとにかく男を利用する。 しかしそこには、私達が想像もできないような孤独があったと思うのです。 誰のことも心から信じることができないがゆえの孤独感。 冒頭で抱いた「イヤミな女やな。。。」という感覚は、読み進めるうちに「可哀想な女性やな。。。」に変わっていきます。

最後の最後になって、切なさがこみ上げてきました。 もしかしてこの女性は、あの長編小説の女性なのではないのか? 作中にはっきりと書かれてはいないのですが、そうだな、と思える箇所がいくつかありました。 名を変え、年齢もちょっとサバを読めば。。。。 あなたはどう感じるでしょうか。。。?

 

 

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